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「手術室看護師が解説!気管内挿管の基本と実践ポイント」

「手術室看護師が解説!気管内挿管の基本と実践ポイント」

こんばんは、看護師くらげです。

今回は「気管内挿管」についてお話しします。

”挿管”というとさまざまな手技を指すことがありますが、ここでは「気管内挿管」に絞って説明します。

この記事内では「挿管」と統一して呼びますので、よろしくお願いします。

看護師の役割と器具の準備

オペ室は、病院の中で一番と言ってよいほど挿管が頻繁に行われるところだと思います。

看護師は基本的に挿管介助をしますが、これにも基本的な”型”があります。

これを覚えておけば、あとは状況によって組み合わせて考えるだけ!

まずは術式によってチューブを選択します。

チューブもいろんな種類がありますが、基本的には下のものから選択していると思います。

チューブの種類

  • 通常のチューブ:スタンダードなタイプ。最も使用頻度が高い。基本は男性8.0mm、女性7.0mmが選択されることが多い。
  • レイチューブ:すでに屈曲しているチューブ。下顎側に固定するので扁桃腺摘出などで使用。
  • スパイラルチューブ:ワイヤーが螺旋状に入っており、つぶれにくい。主に頭頸部手術で使用。
  • ダブルルーメンチューブ:呼吸器外科手術で使用。片肺換気を可能にする特殊なチューブ。
  • エバックチューブ:人工呼吸器管理の際に用いられるカフ上吸引付きのチューブ。
  • ランツ付きチューブ:カフ圧を自動で調整してくれるチューブ。

挿管チューブの準備は麻酔科の先生が基本的にすると思いますが、看護師が行っている施設もあるとか…。

次に、挿管手技に必要なものを準備しましょう!

その他必要な器具

  • 口頭鏡:ブレードを付けてみてライトが点灯するかは必ず確認。たまに電池切れしてる。
  • 喉頭鏡のブレード:サイズは3番(女性)、4番(男性)、2番以下(小児)など。
  • マックグラス:ビデオ口頭鏡として主流。特に挿管困難なケースや臨時手術で口腔内の観察が難しい症例などで活躍。
  • カテーテルゼリー:キシロカイン入りは気管チューブの主成分(ポリ塩化ビニル)を変性させるので基本使用しない。
  • スタイレット:最近はディスポのスタイレットが増えているので、盲点になりがち。
  • シリンジ:意外といつもの場所にない。特に、カフ漏れないか事前にチェックして、その場所に放置されてるので注意。
  • 固定用テープ:施設によって違う。伸びなくて、強い固定力を持っているのが選ばれているはず。
  • 聴診器:ベル型の方に回っていないかは確認したほうが良いかも。
  • 吸引:意外と忘れがち。必ず、吸引チューブを接続するコネクティングチューブ、ヤンカーなんかも用意。

チューブを含めて9点セットは用意しましょう。

手術室に慣れてくるほど抜けやすいので、必ずチェックすることをオススメします。

挿管時の注意点とコツ

気管内挿管の手順は教科書に書いてあると思うので、詳しくはそちらを見てください。

ここではオペ室看護師としての小技をお話します。

  • 1. 挿管前の準備
    • 必要な器具を9点揃える(チューブ、スタイレット、ゼリー、シリンジ、口頭鏡、ブレード、テープ、聴診器、吸引)。
    • どんなオペでも全身麻酔のときは必ず吸引を用意し、誤嚥対策を万全にする。
  • 2. 挿管中のコツ
    • 口元の引き上げ:右の口角を軽く上げることで麻酔科の視界を確保しやすくなる。
    • 誤嚥対策:麻酔中は誤嚥リスクが高いため、胃管チューブが入れてある場合はカテーテルチップで吸引をかけながら挿管することも。
  • 3.挿管後の確認
    • 胸郭の上がりと挿管チューブの曇りを確認。
    • EtCO2波形を見て、継続的な波形が出るか確認。食道相関されているときでもEtCO2の波形が1-2回はでることがあるので、挿管して1分経ったらモニターを見るクセをつける。
    • 聴診器で両肺の換気音を聴き、片肺換気や食道挿管していないか確認。

「喉をおさえて!」:セリック法とバープ法

麻酔科の先生に挿管中に「喉をおさえて!」と言われることがある。

ここでのポイントはセリック法かバープ法のどちらを求められているのかを考えること。

イレウスやフルストマックの状態で迅速導入なら、セリック法。それ以外はバープ法を考える。

  • 1. セリック法(輪状軟骨圧迫)
    • 輪状軟骨を押さえ、誤嚥を防ぐ方法。
    • 強さは3kgと言われているけど、実際やるとよくわからない。イメージ的にはしっかり抑えるけど、押し付けすぎない感じ…。
    • このときのポイントはカフが膨らむまで圧をかけることが大切。カフが膨らめば、気管には入らないはず。
  • 2. BURP(バープ)法
    • 挿管を容易にするために気管を「後方(バック)、上方(アップ)、右方(ライト)に圧迫(プレッシャー)」させる。
    • 声門の位置を甲状軟骨ごと動かして、チューブの挿入をスムーズにする効果あり。

詳しくはこちらのブログを見てみてください。

挿管時のコミュニケーションの重要性

挿管は基本的にスピード勝負なので、挿管困難・換気困難のリスクが高い場合は麻酔科の先生と事前に打ち合わせをしておきます。

挿管困難・換気困難はCVCIと言われていて、プロトコルもありますがここでは割愛します。

自分の場合は、

• 迅速導入のときのカフの注入量(通常成人で10mlが多い、小児はカフ付きの場合でもかなり注入量が少ないので必ず確認)。

• 挿管チューブや器具(マックグラス、グライドスコープ、ブロンコなど)の種類。

なんかを確認します。

まとめ

  • 9点セットを準備:チューブやスタイレット、カテゼリー、口頭鏡、ブレード、シリンジ、聴診器、固定テープ、吸引器など。
  • 確認事項:胸郭の上がり、気管内チューブの曇り、EtCO2波形、聴診で確認。
  • 技術のコツ:セリック法で誤嚥防止、バープ法で挿管の成功率を高める。
  • 事前準備の重要性:緊急時の混乱を防ぐために麻酔科の先生と打ち合わせが必須。

以上、看護師の視点から気管内挿管のポイントをお伝えしました!

最後まで御覧いただきありがとうございました。看護師くらげでした。

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