こんばんは、看護師くらげです。今回は”オペ室でみる鎮痛薬!”ということで病棟でも使う薬についてお話していきます。
”ロピオン”と”アセリオ”。オピオイド以外でよくみるこの薬たち。オペ室で働いているなら一度は名前を聞いたことがあるはず!
新人時代に感じたこと ↓
「なんで麻薬を使って痛みを抑制しているのに、それよりも弱い薬を使うのだろう?」
今回はこの疑問に答えるべく、ロピオンとアセリオの使い分けについてお話ししたいと思います。
※製剤の詳細はかならず添付文書やインタビューフォームを確認して医師の指示のもと使ってください。あくまでも一看護師としての経験から記事を書いています。
1. ロピオンとアセリオとは?
ロピオンとアセリオ、それぞれどのような薬なのかご存じですか?
どちらも痛み止めとして作用しますが、
まずは正式名称から!
ロピオン静注50mg(一般名:フルルビプロフェン アキセチル)
ロピオン画像をいれる
作用時間は30分‐5時間程度、名前の由来はプロピオン酸系非ステロイド性鎮痛剤だからロピオン。
ロピオンはNSAIDsの注射薬版で、経口投与ができない場合に静脈投与する痛み止め(NSAIDs)です。
一方、アセリオ(アセリオ)はNSAIDsではなく、NSAIDsが使用できない患者に対して使用するアセトアミノフェンの注射薬です。
アセリオ静注液1000mgバッグ(一般名:アセトアミノフェン)
アセリオ画像いれる
アセトアミノフェンは風を引いたときにもらうカロナール。あれの注射版です。
全身麻酔で手術をしたときは大体、閉創くらいになったら使います。傷が小さい場合は病棟ですぐに使えるようにわざと入れていない場合もあります。
2. ロピオンの使用目的
ロピオンは痛み止めとして使用されることが多いですが、手術終了直前に投与されることがあります。
この際の目的は痛み止めではなく、体温のセットポイントを下げることでシバリングを予防することです。
また、調べていく中でわかりましたが、ロピオンの適応は鎮痛のみで、解熱目的として使用しないでくださいという文言がありました。
この背景にはスティーブン・ジョンソン症候群というアナフィラキシーと似ているけど、致死率が30%にもなるという疾患になる可能性や、腎障害がある方に使って悪化した事例があるようです。
スティーブン・ジョンソン症候群について詳しく知りたい方はこちらをクリック
3. ロピオンと腎障害
さきほど注意点として腎障害があることはわかりましたが、”腎障害”って具体的にどのくらいなのでしょうか?
「困難は分割せよ」ということで、わかるところまで噛み砕いてみましょう。
ここで出てくるのが、CKD(慢性腎臓病)。
基準をもとに考えていくと、腎障害の程度を把握できるはず。
腎機能はGFR(糸球体濾過量)でみます。GFRは高いのが普通で、障害が起きてくると下がります。
覚えるポイントは60と30。
軽度の障害は60でCKDの診断項目です。
重度の障害は30をきったとき。その間は中度の障害が起きている状態です。
日常診療では推定のGFR(eGFR)で考えます。
CKDって分類が細かくて覚えるのが大変なのですが、CKDクロックという覚え方をすると頭に入りやすいです。
ちなみに透析導入のタイミングはGFR<15をきったときのようです。
詳しくはこちらのブログを参照
つまり、GFR<60の時点でNSAIDsは使用しません。【参考文献1)より】
NSAIDsはアラキドン酸からPG(プロスタグランジン)になる過程を阻害して、痛みを抑制します。
ここをちょっと細かくいうと、アラキドン酸からプロスタグランジンに変化するまでにCOX(シクロオキシゲナーゼ)が必要となります。
このCOXは1と2に分かれていて、1は全身にあって腎臓の血管を広げたり、胃粘膜を保護する役割をしています。
COX-2は炎症を起こしている部分からでます。
この2だけブロックできれば良いんですが、同じNSAIDsでもそれぞれの薬によって1と2のブロックの具合が変わってきます。
ロピオンは選択的にブロックできないので、使うと腎臓の血管が広がらなくなり、胃粘膜が荒れやすくなります。
腎機能が正常の人であれば問題ないでしょうが、腎機能が悪い人ほどシビアな影響ででると考えられます。
参考文献:
4. アセリオと肝障害
アセリオの場合は肝障害あると注意が必要です。
肝障害についても分類を用いるとわかりやすいと思います。
肝臓はたくさんの機能があるので、腎機能のようにGFRだけ分かればなんとなく程度がわかるようにはなっていません。
複数の項目を総合して、肝機能を評価します。
国際的な分類ではChiid-Pugh分類、日本では肝障害度分類があります。
今回は腎障害メインで調べたので、肝機能評価の覚え方などはまた次回まとめたいと思います。
5. ロピオンとアセリオの使い分け
以上のことを踏まえて、使い分けを考えます。
ロピオンはシバリング予防にも使われますが、いくつかの注意点があります。
- 喘息患者には禁忌(特にアスピリン過敏性喘息の患者)
- 腎機能が低下している患者には注意が必要
- 消化管の手術後など、胃に負担をかけたくない場合は避ける
一方、アセリオ(アセトアミノフェン)は腎機能が低い患者でも比較的安全に使用できます。
また、経験則ですがフェンタニルが効かない場合でも、アセリオを使用すると効果があることもあります。
6. 投与方法の違い
ロピオンとアセリオでは投与方法にも違いがあります。
- ロピオン:1分以上かけて静脈投与(ボーラス)、生食100mlに混注して30分くらいで点滴静注
- アセリオ:15分以上かけて点滴投与
アセリオは15分かけて投与することで適切な血中濃度にできます。投与速度を守らないと効果が十分に得られないため注意が必要です。
また、アセリオは体重によって投与量を調整する必要があり、50kgをきると15mg/kgに調整しないといけません。
つまり、体重49.9kgの場合、15×50=750mgにする必要があります。アセリオは1000mg/100mlの製剤なので、10mlで100mg。250mgを引くので、25mlを引いて75mlにして投与するということです。
7. まとめ
- ロピオンはNSAIDsの注射薬で、経口投与できない場合に使用される
- アセリオ(アセトアミノフェン)はNSAIDsが使えないもしくはリスクを取りたくない患者向けの鎮痛薬
- ロピオンはシバリング予防としても使用される
- ロピオンは喘息や腎機能低下、胃に負担をかけたくない場合には注意が必要
- アセリオは腎機能が低下している患者でも比較的安全
- 投与速度や体重に応じた調整が必要
以上、ロピオンとアセリオの使い分けについてお話ししました。
看護師くらげでした。ありがとうございました!
参考文献:
1)メディカのセミナー濃縮ライブシリーズ Dr.畑のビュンビュン身につく!術前・術後の観察ポイント
2)メディカのセミナー濃縮ライブシリーズ Dr.讃岐のツルっと明解!周術期でよくつかう薬の必須ちしき‐病棟ナースにもさらさら役立つ